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あかねはそんなに悪いのか?akane

あかねはそんなに悪いのか
 記念すべき第一回は、私の両親の田舎である小木にかなり影響が深い直江津航路(直江津港〜小木港)を運行する2015年4月に就航した高速カーフェリー「あかね」についてです。


あかねの概要(公式ホームページより 括弧内はあかねの前の三代目こがね丸のスペックwikipediaより)
 造船会社 オーストラリア インキャット社(日本 神田造船)
 建造年月 平成27年4月(平成7年)
 最大旅客定員 628名(1131名)
 車両積載能力 乗用車だけなら152台(151台)
 総トン数 5702トン(4258トン)
 最大速力 30ノット(21.7ノット)

あかねの導入の経緯とスペック上の利点
 カーフェリーを含め船の運行はお金がかかります。燃料もそうですが人もたくさん必要です。メンテナンスもかかります。直江津航路はいつの間にか赤字航路となり2台編成は諦められ、廃止も含めて検討されました。実際、こさど丸が引退したときは、こがね丸1隻運行となり利便性がさらに低下。利用客がさらに激減する結果になりました。
 もちろん2台運用のほうがいいに決まっているのですが、それは難しい。こがね丸もよい船ですが、いつまでも使うことはできない・・・。そんな状況下で判断されたのは、高速船の導入です。
 高速船なら1台でピストン輸送もできますし、各港からの出る時間の差を軽減することができます。事実、夏の繁忙期は、3往復しています。
 これは寺泊赤泊航路でも、カーフェリーから小型の高速船あいびすに変更した実績(・・・)がありました。こちらは1時間で渡ることができる利点とコストダウンと引き換えに、高い欠航率、揺れがひどく利用者激減で廃止の危機という残念な結果となってしまいました。あかねの根強い反対者は、ここから学ぶことがなかったのか?と強く主張します。
 しかし考えていなかったわけではありません。あかねの兄弟船ともいうべき、津軽海峡フェリーの「ナッチャンRera」と「ナッチャンWorld」という2隻は、あの過酷な青函航路で運用されたという実績があります。もっとも航路事情や経済的事情等で短期間の運用で終わってしまったのですが。
 不幸なことに、この新品同様の最新鋭船を売却いただけるという夢のような話が佐渡汽船に持ち込まれたそうですが、大きさが大きすぎて破談になったそうです。しかし高速で自動車も載せられて過酷な青函航路でも運用できた実績のあるこの船はたいそう魅力的に映ったらしく、85m型(ナッチャンは110m型)を新たに新造することにしました。建造費は60億円。ナッチャンの件で燃料費が高いとのうわさも先立ち当初から?マークの評判が立ちました。まあ小型化すれば燃料も減るわけで・・・。
 幸運だったのは、北陸新幹線ができ、観光客が増えるかも??という希望があったことです。また非常に新造までの期間が短くて済むのも判断を後押ししました。
 あかねの概要にあるとおり、最大旅客定員を除けば、あかねは、先代のこがね丸に比べてスペックは圧倒しています。小さい割にハイスペックだった直江津航路専用に新造された、こがね丸に対しても歴然です。赤字が続いた直江津航路の命運をこの一隻にかけようと思ったのは自然なことであると思います。

後ろから車は乗る。入口がフェリーに比べて広いので、乗るときも降りるときも同じ場所からなのが強み

そもそも直江津航路は苦難が多い
 もっとも、あかねの悪評は、そのまま直江津航路の問題点だったりするので、あかねだけの問題ではありません。
・新潟航路に比べて、佐渡の島影に入る時間が短いうえ、航路自体が長く、風や波の影響を強く受けやすい
・JR直江津駅からのアクセスは悪くないが、直江津自体が新潟市に比べて発展していなかったうえ、新幹線が通るのが遅かった。しかも新幹線駅からのアクセスは非常に悪い
・佐渡側の小木も人口が少なく、佐渡の中央部に向けてのアクセスは良くない
 そんななか、運航ダイヤも良くなり、時短も図れ、利便性が向上したわけで、それはあかねのポテンシャルの高さゆえといえます。

島外はともかく、ひどい島内の評判
 私の活動エリアが、小木なので仕方がないのかもしれませんが、話題はどうしても、あかねの悪い噂となります(涙)。噂だけで実際に乗らない剛の者(?)もおります。その方は新潟に行くときは、1時間かけて両津に行って、おけさ丸に乗るそうです。もう少し地元に誇りを持って、あかねを胸張って推奨してほしいものです(きっぱり)。では島内の声をピックアップ・・・

・なんか欠航が多いような気がする
・やっぱり毎日運航してほしい
・白波が立つと船酔者急増
・揺れが3D(複雑?)
・イス席が嫌
・船内で時間を潰す場所がない
・揺れる
・揺れると聞いたので乗っていない

 不満の大半は、欠航を含め冬場運航していないという、運航上の問題と、揺れです。運航上の問題はそもそも直江津航路は欠航が多かったわけで、あかねだけの問題ではありません。揺れの問題も、実際乗ったことがない島民も実は多いので、食わず嫌いというところも多いのが実情です。特に観光客は夏など天気が良い状態で乗ることが多く、島民ほどのアレルギーはありません。逆に島民は、どうしても乗らなければならない、などは季節が悪い時に重なることもあり、1度で懲りてしまった人もいました。島外の人からすると意外かもしれませんが、佐渡島民は別に佐渡島外に行かなくても生活は成り立つ人がほとんどで、そもそもほとんど乗ったことがない、という人もいるのです(あかねに限らず)。また島民だからといって船酔いしない、なんてことはなく、私の一族みたいに、ほぼ全員が弱いという島民家族もいるわけで・・・。
 なので島民だから、きちんとした評価をしているとは限らない、ということを念頭に話を聞いてみてください。

個人的にみたあかねの長所
・速い
・座席が良質
・売店がある
・1日の往復数を多くできる
・車を多く積載できる
・東京方面からの新幹線の乗り継ぎが良い
・じゅうたんコーナーができた

時短に伴う船内設備
 平常時は、それほど客は多くないが繁忙期のカーフェリーは取るのも難しい・・・それが直江津航路の特徴でした。そのため最大旅客定員は少ないものの、車の積載数は非常に多いのが特徴です。ジェットフォイルほどではないが、車を積載してでの高速船であるため、船内の娯楽施設も大幅に省略することができます。もっともその当たりのバランスが、1時間で到着するジェットフォイルとは大幅に印象が異なるのですが。実質売店と船尾の甲板くらいです。座席は狭い船内にたくさんの乗客を乗せるためにイス席となっています。座席部が一層で管理は非常にしやすいです。あまり迷わず座席に到着することもできます。
 全席座席指定ですが、船酔者が多いため、絨毯コーナーを後部に後から作っています。全体的にシンプルで合理的な作りです。
 車両を載せる部分は非常に合理的で、後部から載せて、後部から出ることができる設計です。始めてみたときは驚きました。横が広い双胴船のメリットですね。誘導などは困難が伴いそうですが・・・。

ずばり「揺れるか?」
 白波が立たず、凪いでいて、風がなければ、すこぶる快適です。夏だけでは?と思う方もいるかもしれませんが、10月末に乗ったときも天候が良かったので何の問題もありませんでした。もちろん船酔いして吐いている人も皆無でした。
 しかしちょっと風がでると、気持ちが悪い横揺れが発生します。白波が少し経つ程度でも気分が悪くなる人がいます。これは横幅が広く揺れ自体がゆっくり大きいからだと思っていましたが、よく船に乗る人に聞いたら、時化ているときの揺れも、複雑で気持ちが悪いそうです。
 もっとも海で風が強く波があるときなら、どの船でも揺れます。一番揺れないといわれている、おけさ丸だって船酔い者をたくさん見てきていますから。また船酔い者が多く見られるのは、ワンフロアで目につきやすいということも一因です。たぶん移動の自由度が高いカーフェリーならすぐに廊下にでて、甲板にでたり、トイレに・・・というわけで目につかないことも多いのです。どちらが揺れるか?という点では、あかねが圧倒的に不利なのは否めませんが、船という特性上どの船でも仕方がないことです。それに伴い、直江津航路の長さ、風や波を受けやすい航路、などと悪条件が重なってこのような評判が立っています。意外と島外の人からみれば、あかねだろうが、ときわ丸だろうが、怖いものは怖いですし、揺れは気持ち悪いという点では一緒です。船酔い対策は万全に行い、できるだけ寝る!これは鉄則です。事実、うちの家族も、おけさ丸で波が1m未満という好条件のときですら、乗る前に食べるものを制限し、酔い止めをある程度早期に服用し、船内の揺れにくいポイントをいち早く確保し、出港前に寝てしまう、を徹底しています。
 自然の力は人間には計り知ることはできません。海はその象徴であり、決して甘いものではありません。それは最新鋭の船でも同じです。きちんとした対策を講じるべきです。たとえ晴れていても天気は変わることがありますから、油断しないように。
 ちなみに私は船酔いしやすい体質ですが、徹底しているのでここ10年で船酔いしたのは1回です。おおさど丸で冬の大時化のときに渡ったときです。あかねでなくても、大きめのカーフェリーでも差はあっても天候次第で揺れるものは揺れるのです。ここ数年、おけさ丸も、あかねも、ときわ丸も乗っていますが、特におけさ丸は揺れが少なく感じます。ときわ丸もよりも明らかに良好に感じます。その両者に比べればあかねは確かに揺れますが、凪のときは変わりませんし、時化ればどれも怖いくらいに揺れるのです。

その他の欠点
 地味ながら大きな欠点ですが、高速化したことで急行料金が発生します。自動車、人それぞれかかるので、結構な出費となります。ただでさえ新潟航路に比べて距離が長いので運賃が高いのに・・・。繁忙期以外は島民の足という意味が大きい航路では意外と馬鹿にならない金額差です。もちろん利便性もアップしているのですが。だから遅れて到着したときの失望感がより大きいのです(体験済)。
 船内に楽しむべきところがないのも欠点です。これはジェットフォイルも同じです。しかし向こうは約1時間で到着できるのに対し、あかねは1時間40分。この40分差は意外と大きいです。ボーっとしていると意外と退屈です。特に酔いたくない!と思っている人にとっては地獄です・・・。
 窓が前面にあり、窓際が良いと感じるかもしれませんが、左右は揺れやすいし、大きな揺れが多いので、見ているだけで寄ってしまう可能性があります。それならお金を払って前面のときクラスに乗れば・・・と思うのですが、こっちは景色が非常に良いのですが、やはり視覚的に酔いやすいです。酔うことが嫌ならアイマスクをしないと・・・ということで、せっかくの景色が見られなくなるジレンマに陥ります。

今後の希望

あかねからの夕日。運が良いと夕方便で見ることができます(2016年10月31日撮影)

 やはり理想は2隻体制の復活です。高速船をもってしても、どうしてもどちらかの港に出発時間のしわ寄せがきてしまいます。通常期は一日2往復ですが、直江津は9:30発です。これは北陸新幹線のダイヤで東京方面から来る新幹線に合わせると理想的な発時間です。しかしそのしわ寄せで、小木発の始発は11:50になってしまいます。また島民が直江津に渡ると13:30に到着するわけで既に午後。戻ってくる便は14:10ですから日帰りは事実上無理なのです。これは生活路線として考えると非常に心許ないです。一便はカーフェリーで無くてもいいので、その間をつなぐようなフェリー、もしくは高速船が欲しいです。費用をあまりかけないなら、寺泊から、あいびすを持ってくるのが一番効率的に思えます(別に寺泊〜赤泊航路を廃止してもよいといっているわけではありません。向こうをきちんと運航するには、もう少しまともな船一隻を両泊航路入れるべき、ということです)。
 あと、じゅうたん席の復活です。うまく改造して座席数を多少減らしても船酔い者だけでなく、船酔いしやすい人の為の座席を確保して欲しいです。また船酔い者を見ると酔う人も増えるので、この船の特徴からすると矛盾してしまうのですが、間仕切が欲しい所です。運航して数年、少しずつ改良している最中だと思います。実際じゅうたんコーナーは最初はありませんでした。乗客の声を少しずつ反映して良い方向に持って行ってくれたらな、と思います。
 個人的には、素早く佐渡の南側に到着できる利便性、北陸方面からのアクセスのしやすさ、車を多く積める、直江津〜小木航路と、あかねのマッチングは非常にいいと感じています。運航も最初に比べれば非常に良くなってきていますし、今後さらに観光客を呼び込み、地元の人が使ってくれれば、佐渡が良くなっていくと思っています。良くなれば2隻体制に戻すことも可能になります。そう遠くない将来にそうなることを願っています。

令和3年に、あかねは、小木ー直江津航路から引退しました。その後、ジェットフォイルでの運行後、令和5年春から中古で購入した4代目の「こがね丸」が就航予定です(2022年11月加筆)

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